南海トラフ地震は、発生すれば広い範囲で強い揺れと大きな津波をもたらすと想定されている巨大地震です。「南海トラフ危ない県ランキング」と検索する人が多いのは、自分の住む地域がどの程度の危険度にあるのかを知りたいという気持ちからだと思います。
内閣府や気象庁が公表している資料では、想定される震度や津波の高さに地域差があることが示されています。どの地域が特に警戒すべきとされているのか、公的資料をもとに整理していきます。
備えの必要性は住んでいる場所によって少しずつ違います。この記事を通じて、自分の地域に合った防災の視点を見つけていただければと思います。
南海トラフ地震で「危ない県」とされる基準とは
南海トラフ地震の危険度は、想定される死者数や震度、津波の高さといった複数の指標から整理されています。ここでは、どのような基準で「危ない県」と呼ばれているのかを、公的資料の内容にもとづいて確認していきます。地域ごとの違いを知ることが、備えを考える第一歩になります。
被害想定における死者数の考え方
内閣府の中央防災会議は、南海トラフ巨大地震が発生した場合の被害想定を公表しています。令和7年3月に公表された最新の想定では、最悪のケースで死者数は約29.8万人にのぼるとされています。この数値は、地震の揺れによる建物倒壊や津波、火災など複数の要因を合わせた合計です。都道府県ごとに見ると、想定される死者数には大きな差があり、沿岸部の県ほど津波による被害が大きく見積もられる傾向があります。ただし、これは早期避難率が低いなど条件が重なった最悪のケースであり、避難行動の改善によって被害は大きく減らせるとされています。
想定震度が高いとされる地域
気象庁の資料では、南海トラフ巨大地震が発生した場合、静岡県から宮崎県にかけての一部で震度7になる可能性があるとされています。それに隣接する周辺の広い地域でも、震度6強から6弱の強い揺れになると想定されています。震度7という数値は、木造住宅であっても倒壊のおそれがある強さです。揺れの強さは震源からの距離や地盤の性質によって変わるため、同じ県内でも地域ごとに差が出ることがあります。自分の住む地域がどの震度域に含まれるかは、気象庁や自治体が公開している資料で確認しておくと安心です。
津波の高さが警戒される地域
気象庁の発表では、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に、10mを超える大津波の襲来が想定されています。津波の高さは満潮位からの高さで示されており、地形によって同じ県内でも到達する高さが異なります。例えば、リアス式海岸のように湾が入り組んだ地形では、津波の高さが増幅されやすいことが知られています。津波の到達予想時刻についても、被害想定における時刻と気象庁が発表する津波警報の時刻が必ずしも一致しない場合があるため、実際の避難行動では警報の情報を優先することが大切です。
想定はあくまで最大クラスのケースという点
南海トラフ巨大地震の被害想定は、科学的に想定される最大クラスの地震が発生した場合のケースとして整理されたものです。内閣府の資料では、実際にこの想定どおりの揺れや津波が発生するとは限らないとされています。また、南海トラフ地震は千年に一度、あるいはそれよりも発生頻度が低いとされており、次に発生する地震そのものを予測したものではない点にも留意が必要です。ランキングの数値だけを見て一方的に不安になるのではなく、想定の前提を理解したうえで備えの参考にするとよいでしょう。
最大クラスのケースで死者数は約29.8万人と想定
静岡県から宮崎県の一部で震度7の可能性
太平洋沿岸の広い地域に10mを超える津波の想定
想定は条件次第で変動し、早期避難で被害は大きく減らせる
- 被害想定は死者数・震度・津波の高さなど複数の指標から整理される
- 令和7年3月公表の最新想定では最大死者数は約29.8万人
- 静岡県から宮崎県の一部で震度7の可能性がある
- 太平洋沿岸の広い範囲で10mを超える津波が想定される
- 想定は最大クラスのケースであり、早期避難で被害は軽減できる
南海トラフで危ないとされる県の傾向
危険度の基準を押さえたところで、次はどの地域が特に警戒すべきとされているのかを見ていきます。公的資料で示されている想定死者数の傾向をもとに、地域ごとの特徴を具体的に整理していきます。
静岡県から高知県にかけての太平洋沿岸
内閣府が公表した被害想定(令和元年6月時点の資料)では、南海トラフ巨大地震での死者数が最大となるケースにおいて、静岡県が最も多い想定となっています。これは、静岡県の沿岸部が震源域に近く、津波の到達時間が短いことが理由の一つとされています。三重県や和歌山県、高知県も、津波による死者数の想定が大きい地域として挙げられます。これらの地域は、海岸線が入り組んでいたり、平地が少なく高台までの距離が遠い場所が多いことも影響していると考えられます。具体的な想定値は内閣府の公式資料で確認できるため、自分の住む地域の数値を一度確認してみるとよいでしょう。
内陸部や北日本との想定の違い
南海トラフ地震の想定震源域は、駿河湾から日向灘にかけての太平洋側に位置しています。そのため、北海道や東北地方、関東地方の一部など、震源域から離れた地域では、想定される死者数がゼロまたは非常に少ないとされています。ただし、これは南海トラフ地震に限った想定であり、他の地震に対する危険度が低いという意味ではありません。例えば首都直下地震など、地域によっては別の地震の想定が重要になる場合もあります。南海トラフのランキングだけで自分の地域の防災の必要性を判断せず、複数の想定を組み合わせて考えることが大切です。
同じ県内でも危険度に差がある理由
都道府県単位のランキングは分かりやすい一方で、同じ県内でも地域ごとに危険度が大きく異なる場合があります。沿岸部と内陸部では津波のリスクがまったく異なりますし、平野部と山間部では土砂災害の危険度も変わってきます。実際に、国土交通省・国土地理院が提供するハザードマップポータルサイトでは、地域ごとの詳細な想定を地図上で確認できます。都道府県単位のランキングは大まかな傾向をつかむ材料として、実際の行動判断には自分の住所に基づいた地図情報を確認するとよいでしょう。
ランキングを見るときに注意したい点
ランキングに使われている想定値は、公表された時点や算出条件によって数値が異なることがあります。例えば、令和元年時点の資料と令和7年3月に公表された最新の想定では、推計手法の更新や海岸堤防整備の進捗を反映し、数値が改定されています。どの資料を基にしたランキングなのかを確認せずに数値だけを比較すると、実際の危険度と印象がずれてしまう可能性があります。最新の想定を確認したい場合は、内閣府防災情報のページで公表されている資料を直接確認することをおすすめします。
| 都道府県 | 想定死者数の傾向 | 主な死因 |
|---|---|---|
| 静岡県 | 最大クラスの想定 | 津波・建物倒壊 |
| 三重県 | 大きい想定 | 津波・建物倒壊 |
| 和歌山県 | 大きい想定 | 津波 |
| 高知県 | 大きい想定 | 建物倒壊・津波 |
| 宮崎県 | 大きい想定 | 津波 |
- 静岡県・三重県・和歌山県・高知県などは想定死者数が大きい傾向
- 北日本など震源域から離れた地域は想定死者数が少ない
- 同じ県内でも沿岸部と内陸部でリスクは大きく異なる
- ランキングは公表時点の想定条件によって数値が変わる

危険度が高い地域で備えておきたいこと
地域ごとの傾向がわかったところで、今度は実際にどのような備えをしておくとよいかを整理していきます。特に津波や強い揺れが想定される地域では、備えの優先順位が変わってくる点を押さえておきましょう。
避難場所と避難経路の確認
津波の想定が大きい地域では、避難場所までの距離や高さを事前に確認しておくことが重要です。国土交通省・国土地理院のハザードマップポータルサイトでは、津波の想定浸水範囲や避難場所の位置を地図上で確認できます。例えば、自宅から最も近い高台や津波避難ビルまでの道順を、実際に歩いて確認しておくと、夜間や停電時でも迷わずに行動しやすくなります。避難経路が複数ある場合は、通行止めや浸水で使えなくなる可能性も考えて、2つ以上のルートを把握しておくと安心です。
住宅の耐震性の確認
震度7クラスの揺れが想定される地域では、住宅の耐震性が生死を分ける要素になります。内閣府の資料では、住宅の耐震化が被害軽減に効果的な対策の一つとして挙げられています。具体的には、建築年が古い住宅では耐震診断を受け、必要に応じて耐震補強を検討するとよいでしょう。家具の転倒防止についても、L字金具や突っ張り棒を使うことで、揺れによる二次的な被害を減らすことができます。耐震化にかかる費用や補助制度については、お住まいの自治体の窓口で確認できる場合があります。
高齢者や子ども、ペットがいる家庭の配慮
危険度が高い地域では、家族構成に応じた備えを考えることも大切です。高齢者がいる家庭では、避難にかかる時間を長めに見積もり、早めの避難開始を心がけるとよいでしょう。子どもがいる家庭では、はぐれた場合の集合場所をあらかじめ決めておくと、混乱時にも落ち着いて対応しやすくなります。ペットがいる家庭では、避難所によってペットの受け入れ方針が異なるため、自治体のペット同行避難に関する案内を事前に確認しておくと安心です。家族全員で避難のシミュレーションを一度行っておくと、実際の場面でも動きやすくなります。
備蓄品と非常持ち出し袋の準備
津波や強い揺れが想定される地域では、避難後の生活を支える備蓄品の準備も欠かせません。内閣府の資料では、最低3日分、可能であれば1週間分の水や食料を備えておくことが推奨されています。非常持ち出し袋には、飲料水や非常食のほか、携帯用トイレ、常備薬、モバイルバッテリーなどをまとめておくと、避難時にすぐ持ち出せます。消費期限のある食品は、日常的に消費しながら買い足すローリングストックの考え方を取り入れると、無理なく備蓄を続けやすくなります。
Q1. 想定される震度が高い地域は必ず被害が大きくなりますか。
A1. 震度は揺れの強さを示す指標であり、被害の大きさは建物の耐震性や地形によっても変わります。震度だけで判断せず、複合的に確認することが大切です。
Q2. ランキングで危険度が低い県は備えが不要ですか。
A2. 南海トラフ地震以外の地震や災害の想定もあるため、ランキングが低くても備え自体は必要です。地域ごとの複数の想定を確認しておくと安心です。
- 避難場所までの経路を事前に複数確認しておく
- 住宅の耐震性を確認し、家具の転倒防止対策も行う
- 高齢者・子ども・ペットがいる家庭は避難計画をあらかじめ決めておく
- 最低3日分、できれば1週間分の備蓄品を用意しておく
最新の想定情報を確認する方法
備えの内容を確認したところで、最後に想定の数値や制度がどこで更新されているかを見ていきます。防災情報は時間とともに更新されるため、確認先を把握しておくことが役立ちます。
内閣府防災情報のページでの確認
南海トラフ巨大地震の被害想定は、内閣府防災情報のページで随時更新されています。令和7年3月には、南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの報告書が公表され、被害想定の数値が更新されました。最新の想定や対策の詳細については、内閣府防災情報のページの南海トラフ地震対策のコーナーで確認できます。数値は今後も見直される可能性があるため、記事を読んだ時点の情報だけで判断せず、定期的に最新情報を確認する習慣をつけておくと安心です。
気象庁が発表する震度・津波の情報
実際に地震が発生した際の震度や津波の情報は、気象庁が発表する内容が最も信頼できる一次情報です。気象庁のウェブサイトでは、南海トラフ地震で想定される震度や津波の高さについての解説ページが公開されています。また、南海トラフ地震臨時情報が発表された場合の防災対応についても、気象庁の資料で確認できます。平時から気象庁の発表内容に目を通しておくと、実際に情報が出た際にも落ち着いて行動しやすくなります。
ハザードマップポータルサイトの活用
自分の住む地域の詳細なリスクを知りたい場合は、国土交通省・国土地理院が提供するハザードマップポータルサイトが役立ちます。このサイトでは、津波の想定浸水範囲や土砂災害の危険箇所などを、住所を入力して地図上で確認できます。都道府県単位のランキングでは分からない、自宅周辺の細かいリスクを把握できる点が大きな特徴です。引っ越しを検討している場合や、家族に説明する際の資料としても活用しやすいツールです。
自治体の防災情報や相談窓口
国の想定に加えて、お住まいの自治体が独自に公表している防災情報も確認しておくとよいでしょう。自治体によっては、地域特性を反映した避難計画や、より詳細なハザードマップを公開している場合があります。耐震補強の補助制度や、高齢者・障がいのある方向けの避難支援制度についても、自治体の窓口で相談できることが多いです。個別の事情に応じた対応が必要な場合は、公式サイトの情報だけで判断せず、窓口へ直接問い合わせることをおすすめします。
内閣府防災情報のページ:南海トラフ地震対策の最新報告書
気象庁:震度・津波の想定と臨時情報の解説
ハザードマップポータルサイト:自宅周辺の詳細リスク
お住まいの自治体:地域独自の避難計画や相談窓口
- 内閣府防災情報のページで最新の被害想定を確認できる
- 気象庁のサイトで震度・津波の想定や臨時情報を確認できる
- ハザードマップポータルサイトで自宅周辺の詳細リスクを確認できる
- 自治体の窓口で地域独自の防災情報や相談ができる
まとめ
南海トラフ地震の危険度は、想定死者数や震度、津波の高さといった複数の指標から地域ごとに整理されています。
自分の住む地域の詳細なリスクは、ハザードマップポータルサイトや自治体の防災情報で確認しておくとよいでしょう。
想定はあくまで最大クラスのケースですが、備えを進めておくことで安心につながります。ご自身とご家族の状況に合わせて、少しずつ備えを整えてみてください。
本記事は防災に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の災害や個々の状況における安全を保証するものではありません。備蓄品・防災用品の選定や災害時の対応については、内閣府・気象庁・消費者庁・お住まいの自治体などの公式情報もあわせてご確認のうえ、ご自身の状況に応じてご判断ください。

