台風や低気圧が近づくと、強い風によって屋根や外壁、街路樹などに被害が出ることがあります。こうした風害は、地震や水害と比べて注目されにくい災害ですが、身近な場所で起こりやすいものです。
風害は「風速がどの程度になると、どのような被害が出やすいか」という目安を知っておくことで、事前の備えや当日の判断がしやすくなります。気象庁の資料では、風の強さは段階的に分類されており、段階ごとに想定される被害の内容が整理されています。
ここでは、風害の基本的な仕組みから、風の強さ別の被害の目安、家庭でできる備え、当日確認しておきたい情報までを順番に整理します。防災について知りたいと感じているすべての方に向けて、無理のない範囲で参考にしていただける内容にまとめます。
風害とはどのような災害なのか
最初に、風害がどのような現象によって発生し、どのような被害につながりやすいのかを整理します。原因を知っておくと、後の対策や情報収集の理由が理解しやすくなります。
風害の主な原因
風害とは、強い風によって引き起こされる被害全般を指します。台風や発達した低気圧による暴風のほか、竜巻やダウンバーストといった突風が原因になることもあります。
気象庁の資料によると、竜巻は積乱雲に伴って発生する激しい渦であり、ダウンバーストは積乱雲から生じる強い下降気流とされています。いずれも短時間で急激に風が強まる特徴があるため、事前の察知が難しい場合があります。
例えば、青空から急に真っ黒な雲が近づき周囲が暗くなったり、冷たい風が急に吹き始めたりする変化は、突風の前兆として知られています。こうした変化に気づいたときは、屋外にいる場合は頑丈な建物へ移動しておくと安心です。
風害で想定される主な被害
風害では、屋根瓦や外壁材の破損、看板や瓦の飛散、電柱や街路樹の倒れ、農業用ビニールハウスの損傷など、幅広い被害が想定されます。強風によって物が飛ばされることでけがにつながるケースも少なくありません。
内閣府の資料では、過去の竜巻や突風によって住宅の全壊や半壊が発生した事例が紹介されています。突風は発生範囲が狭い一方で、被害が集中しやすいという特徴があります。
また、風害は単独で発生するだけでなく、大雨や落雷を伴うことも多くあります。風だけに注意を向けるのではなく、雨量や雷の情報も合わせて確認しておくと判断がしやすくなります。
風害が発生しやすい季節と地域
台風による風害は、例年7月から10月にかけて発生しやすい傾向があります。一方で竜巻やダウンバーストは季節を問わず、全国各地で発生することが気象庁の資料で示されています。
低気圧や台風が接近する際に、南から温かく湿った空気が流入すると、大気の状態が不安定になりやすく、突風が発生しやすくなるとされています。地域による差はあるものの、どこでも起こり得る現象として捉えておくとよいでしょう。
具体的には、平野部で急に空が暗くなり雷鳴が聞こえてきた場合、竜巻注意情報が発表されていないか確認してみてください。情報が手元になくても、前兆となる変化を知っておくことで身を守る行動につながります。
風害と他の災害との関係
風害は、水害や土砂災害と同時に発生することが多い災害です。台風の接近時には、強風と大雨が同時に発生し、河川の増水や土砂災害の危険性も高まります。
国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、河川氾濫や土砂災害の危険性がある区域を地図上で確認できます。風害だけでなく、周辺のハザードも合わせて確認しておくと備えの精度が上がります。
このように、風害単独の視点だけでなく、複合的な災害として捉えることが大切です。次の章では、風の強さごとの被害の目安を具体的に見ていきます。
被害は屋根や外壁、街路樹、ビニールハウスなど広範囲に及ぶことがあります。
風だけでなく大雨や落雷を伴うことも多いため、複合的な情報確認が大切です。
- >風害は台風・低気圧による暴風と、竜巻やダウンバーストなどの突風が主な原因です>屋根瓦や外壁材の破損、看板や街路樹の被害などが想定されます>台風による風害は7月から10月に発生しやすい傾向があります>竜巻やダウンバーストは季節を問わず全国で発生する可能性があります>風害は水害や土砂災害と同時に発生することが多くあります
風の強さ別に見る被害の目安
ここまで風害の原因と全体像を見てきましたが、次は風の強さと被害の関係を具体的に整理します。どの段階でどのような行動をとるとよいかの判断材料になります。
風速と風の強さの分類
気象庁では、風速10m/s以上の風を「やや強い風」「強い風」「非常に強い風」「猛烈な風」の4段階に分類しています。風速とは10分間の平均風速を指し、瞬間風速はこの1.5倍から3倍程度に達することがあるとされています。
風速10m/s以上15m/s未満は「やや強い風」とされ、樹木全体や電線が揺れ始める強さです。この段階は、市町村によっては強風注意報の基準になることがあります。
具体的には、傘が差しにくくなったり、歩きづらさを感じたりする段階が、この「やや強い風」に近いイメージとされています。日常生活の中でも体感しやすい風の強さといえます。
強い風から猛烈な風までの被害の目安
風速15m/s以上20m/s未満は「強い風」とされ、雨戸やシャッターが揺れ、屋根瓦や屋根葺材がはがれ始める場合があるとされています。この段階から、建物への影響が出始める目安になります。
風速20m/s以上30m/s未満は「非常に強い風」で、屋根瓦や屋根葺材の飛散、固定されていないプレハブ小屋の移動や転倒、ビニールハウスの被覆材の破損などが起こりやすくなるとされています。暴風警報の基準は都道府県ごとに定められており、この段階に近い数値が採用されることが多いとされています。
風速30m/s以上は「猛烈な風」とされ、多くの樹木が倒れたり、電柱や街灯が倒れることもあるとされています。外装材が広範囲に飛散する可能性があるため、屋外での活動は避けるほうが安心です。数値の詳細や地域ごとの基準については、気象庁公式サイトの該当ページでご確認ください。
暴風警報と特別警報の位置づけ
気象庁の資料では、暴風警報基準以上の風を「暴風」と呼んでいます。暴風警報の基準は都道府県ごとに設定されており、地域によって数値が異なる点に注意が必要です。
また、特別警報は暴風・波浪・大雪・暴風雪について、通常の警報をはるかに超える現象が予想される場合に発表されます。特別警報が発表された場合は、すでに重大な災害が発生している可能性があるとされています。
例えば、テレビやラジオで暴風警報が発表されたと知った場合は、外出を控え、窓や雨戸の補強状況を再確認しておくと安心です。地域ごとの具体的な基準値は、気象庁公式サイトの「警報・注意報発表基準」のページで確認できます。
竜巻注意情報とナウキャストの活用
気象庁は、1時間以内に竜巻等の激しい突風が起きやすい状況と判断された場合に「竜巻注意情報」を発表しています。また、竜巻発生確度ナウキャストを10分ごとに発表し、突風の発生可能性を予報しています。
竜巻注意情報が発表された場合は、まず周囲の雲の状況を確認し、積乱雲が急に発達して辺りが暗くなってきたら身の安全を図ることが基本とされています。屋内では窓から離れ、カーテンを閉め、家の中心部に近い部屋へ移動する行動が紹介されています。
情報を入手できない状況でも、急な冷たい風や大粒の雨、ゴーという音などの前兆に気づいた場合は、頑丈な建物への移動を検討してみてください。日頃からこうした情報の入手先を確認しておくことが、落ち着いた判断につながります。
| 風の強さ | 風速の目安 | 主な被害の目安 |
|---|---|---|
| やや強い風 | 10m/s以上15m/s未満 | 樹木全体や電線が揺れ始める |
| 強い風 | 15m/s以上20m/s未満 | 屋根瓦や屋根葺材がはがれ始める |
| 非常に強い風 | 20m/s以上30m/s未満 | 屋根瓦の飛散、ビニールハウスの破損 |
| 猛烈な風 | 30m/s以上 | 樹木の倒れ、電柱や街灯の倒壊 |
- >気象庁では風速10m/s以上を4段階に分類しています>強い風の段階から屋根や外壁への影響が出始めるとされています>暴風警報の基準は都道府県ごとに設定されています>竜巻注意情報とナウキャストで突風の可能性を確認できます>数値の詳細は気象庁公式サイトで確認しておくと安心です

家庭でできる風害への備え
風の強さ別の被害の目安がわかったところで、次は家庭でできる具体的な備えを見ていきます。事前の備えと当日の行動に分けて整理します。
強風が予想される前の屋外の備え
強風が予想される前には、庭やベランダにある植木鉢や物干し竿など、風で飛ばされやすい物を屋内へしまうか、ロープなどで固定しておくとよいでしょう。看板や物置なども同様に確認しておくと安心です。
気象庁の資料では、側溝や排水口の清掃も強風前の備えとして紹介されています。落ち葉やごみが詰まっていると、雨が伴った場合に排水がうまくいかず、浸水につながることもあります。
例えば、「ベランダの物干し竿を室内に入れる」「植木鉢を玄関の中に移動させる」といった具体的な行動を、天気予報で強風の予想が出た時点で済ませておくと、当日慌てずに済みます。
家の中でできる備え
家の中では、懐中電灯や携帯ラジオ、乾電池、救急薬品、非常用食品などの非常用品を確認しておくことが大切です。停電や断水が発生した場合に備え、飲料水の確保や浴槽への水の確保も検討しておくと安心です。
窓ガラスには、飛散防止フィルムを貼っておくと、万一の飛来物による破損時にもガラスの飛散を抑えやすくなります。カーテンやブラインドを閉めておくことも、飛来物対策として紹介されています。
また、雨戸やシャッターがある住宅では、強風が予想される前にしっかりと閉め、必要に応じて補強しておくとよいでしょう。がたつきやゆがみがある場合は、風が強まる前に点検しておくと安心です。
高齢者・子ども・ペットがいる家庭の配慮
高齢者のいる家庭では、避難に時間がかかる場合があるため、早めの情報収集と避難の判断が大切です。避難場所までの経路をあらかじめ確認しておくと、当日の負担を減らせます。
子どものいる家庭では、強風時に窓の近くで遊ばないよう伝えておくことや、外出時の飛来物への注意を日頃から話しておくことが役立ちます。ペットがいる家庭では、屋外飼育のケージや小屋が固定されているかを確認しておくとよいでしょう。
具体的には、家族で「強風が予想されたら誰が何を確認するか」をあらかじめ決めておくと、当日の行動がスムーズになります。役割を分担しておくことは、どの家庭構成でも取り入れやすい備え方です。
費用を抑えた備えの工夫
風害対策は、必ずしも費用をかけなくても取り組める部分があります。植木鉢の固定や排水口の清掃、非常用品の確認などは、家庭にあるもので対応できることが多くあります。
一方で、飛散防止フィルムや雨戸の補強などは、住宅の状況によって費用が変わります。国民生活センターでは、防災用品に関する製品比較や相談情報を公開しており、購入前の参考として活用できます。
まず費用をかけずにできる備えから始め、必要に応じて設備の補強を検討する、という段階的な進め方も一つの方法です。無理のない範囲で、少しずつ備えを整えていくとよいでしょう。
非常用品の確認と飲料水の確保は、家の中でできる基本的な備えです。
高齢者・子ども・ペットのいる家庭では、避難経路や役割分担を事前に決めておくと安心です。
ミニQ&A
Q.ベランダの物はどこまで対策すればよいですか。A.植木鉢や物干し竿など飛ばされやすい物は、屋内へしまうかロープで固定しておくと安心です。
Q.雨戸がない住宅ではどうすればよいですか。A.窓ガラスに飛散防止フィルムを貼り、カーテンやブラインドを閉めておく方法が紹介されています。
- >強風前は屋外の物を固定・収納し、排水口を清掃しておきます>非常用品の確認と飲料水・生活用水の確保が基本になります>飛散防止フィルムやカーテンで窓周辺の飛来物対策ができます>高齢者・子ども・ペットのいる家庭では役割分担が役立ちます>費用をかけない備えから段階的に整えていく方法があります
風害当日に確認したい情報と行動
家庭での備えを押さえたら、今度は強風が予想される当日にどのような情報を確認し、どう行動するとよいかを整理します。情報の入手先と行動の目安を順番に見ていきます。
気象警報・注意報の確認方法
気象庁ホームページでは、発表中の気象警報・注意報や台風情報、気象レーダーなどの情報を確認できます。テレビやラジオでも、警報や注意報の発表状況が随時放送されます。
気象庁の資料によると、警報は重大な災害が発生するような現象がおおむね3から6時間先に予想される場合に発表されるとされています。早めに情報を確認しておくことで、行動の準備時間を確保しやすくなります。
例えば、外出の予定がある日に「強風注意報」や「暴風警報」が発表された場合は、予定を早めに変更するかどうかを検討してみてください。公共交通機関の運行状況も合わせて確認しておくと安心です。
外出時と車を運転する際の注意点
強風が予想されている際は、できるだけ外出や屋外での活動を控えることが基本とされています。外出している場合は、早めに近くの建物内へ移動し、窓から離れた場所で待機する行動が紹介されています。
車を運転する場合は、横滑りや横転の危険が高まるため、ハンドルをしっかりと握り、スピードを落として走行することが大切です。風速が高まるほど通常の運転が難しくなるとされているため、運転自体を控える判断も検討してみてください。
台風が通過した直後には、風が一時的に弱まった後に再び強く吹く「吹き戻し」が起こることもあります。風が収まったように見えても、風向の変化に注意しながら行動するとよいでしょう。
屋内・屋外での安全確保行動
屋内にいる場合は、窓を開けず、窓から離れ、カーテンを閉め、雨戸やシャッターを閉めることが基本の行動として紹介されています。地下室や建物の最下階、窓のない部屋への移動も有効とされています。
屋外にいる場合は、車庫や物置、プレハブを避難場所にせず、近くの頑丈な建物へ移動することが大切です。適当な避難場所が見つからない場合は、水路やくぼみに身を伏せ、両腕で頭と首を守る行動が紹介されています。
橋や陸橋の下は、風が集中しやすい場所とされているため、避難場所として選ばないよう注意が必要です。飛来物にも常に注意を払いながら移動してみてください。
被害が発生した後の対応
強風によって屋根や外壁に被害が出た場合、本格的な修理は強風が完全に収まったことを確認してから行うことが基本とされています。無理に屋外で作業を行うと、二次的なけがにつながるおそれがあります。
被害の状況によっては、自治体の窓口や保険会社への相談が必要になる場合があります。個々の状況に応じた対応については、お住まいの自治体や専門窓口へ相談してみてください。
また、被害の記録として、写真を撮っておくと、後の手続きで役立つことがあります。焦って対応する前に、まず身の安全を確保することを優先してみてください。
屋内では窓から離れ、屋外では頑丈な建物へ移動することが安全確保の基本行動です。
屋根や外壁の修理は、強風が完全に収まってから行うと安心です。
- >気象庁ホームページやテレビ・ラジオで警報・注意報を確認します>強風時は外出を控え、運転する場合は速度を落として慎重に走行します>屋内では窓から離れ、屋外では頑丈な建物へ移動します>吹き戻しに注意し、風が収まった直後も油断しないようにします>屋根や外壁の修理は強風が収まってから行うと安心です
まとめ
風害は、台風による暴風だけでなく、竜巻やダウンバーストなどの突風によっても発生する身近な災害です。
まずは気象庁ホームページで発表中の警報・注意報を確認する習慣をつけ、強風が予想される際には屋外の物の固定や非常用品の確認から始めてみてください。
日々の小さな備えを積み重ねておくことが、いざというときの落ち着いた行動につながります。ご自身とご家族の状況に合わせて、無理のない範囲で備えを整えていきましょう。
本記事は防災に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の災害や個々の状況における安全を保証するものではありません。備蓄品・防災用品の選定や災害時の対応については、内閣府・気象庁・消費者庁・お住まいの自治体などの公式情報もあわせてご確認のうえ、ご自身の状況に応じてご判断ください。


