ポータブル電源を防災用に備えようと検索を始めると、必ずといっていいほど「Jackery(ジャクリ)」という名前に行き当たります。オレンジと黒のデザインが印象的なこのブランドは、日本のポータブル電源市場でシェア上位に位置しており、防災・アウトドア両面での知名度が高い存在です。
一方で、「ジャクリってどこの国のメーカー?」「モンゴル人が作ったと聞いたけど本当?」「中国製は安全なの?」という疑問を持つ方も少なくありません。防災用品は長期間使わない可能性があるだけに、購入前にブランドの信頼性をしっかり確認しておくことは大切です。この記事では、Jackeryの設立背景・製造体制・安全認証・日本でのサポート体制を整理し、防災備蓄として選定する際の判断材料をお伝えします。ポータブル電源の選定で迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
Jackery(ジャクリ)はどこの国のブランドか
ポータブル電源を選ぶとき、どこの国のメーカーかを気にする方は多くいます。Jackeryについては「アメリカ?」「中国?」「日本法人がある?」と情報が混在しがちなので、設立の経緯から順に整理します。
アメリカ設立・モンゴル出身の創業者が立ち上げたブランド
Jackeryは2012年、アメリカ合衆国カリフォルニア州アラメダ郡フリーモントで設立されたポータブル電源の専門ブランドです。創業者の孫中偉(スン・ジョンウェイ)氏はモンゴル出身で、日本のメーカーで販売代理店としてモバイルバッテリーの営業に携わった経歴を持ちます。
その経験からアウトドアや災害時の電力確保という課題に着目し、カリフォルニア州シリコンバレー近郊でJackeryを立ち上げました。社名は「Jacket(ジャケット)」と「Battery(バッテリー)」を組み合わせた造語で、「バッテリーを被服のように身近なものにしたい」という理念が込められています。
「jackery mongolia」という検索ワードが生まれる背景には、この創業者のルーツと、モンゴル国でのJackery正規販売(Jackery Mongolia)の存在があります。日本在住の方が防災用として選定を検討する場合、重要なのは設立国よりも日本市場での販売体制・安全認証・サポート内容です。
製造は中国・深センの自社工場で実施
Jackeryの製品は、親会社にあたる中国・深センの工場で製造されています。親会社は中国A株市場に上場しており、充放電の試験設備を自社で保有し、品質検査を一貫して行っています。
「中国製」という点を気にする方もいますが、日本国内で流通しているポータブル電源は、ブランドの国籍にかかわらず大半が中国で製造されているのが実情です。製品を評価するうえで重要なのは製造国ではなく、どのような品質管理と安全認証のもとで作られているかという点です。
Jackeryの生産工場はISO9001認証を取得しており、各バッテリーユニットは出荷前に複数回のテストを経て出荷基準を満たしたものだけが流通しています。
設立:2012年・アメリカ カリフォルニア州
創業者:孫中偉氏(モンゴル出身・元日本メーカー代理店勤務)
製造拠点:中国・深セン(ISO9001認証取得工場)
日本法人:株式会社Jackery Japan(東京都中央区晴海・2019年設立)
日本法人の設立と国内サポート体制
2019年9月、日本法人「株式会社Jackery Japan」が東京都内に設立されました。以後、国内販売とサポートを日本法人が担い、電話・メール・LINEによる日本語対応が可能な体制を整えています。
大手家電量販店(ヨドバシカメラ・ビックカメラなど)への展開も進んでおり、購入しやすい環境が整っています。JVCケンウッドとの業務提携による「Jackery Tuned by JVC」ブランドの製品も展開されています。
保証期間は公式情報では製品登録を行うことで最長5年間となっており、寿命を迎えた製品の無料回収サービスも2023年4月から開始されています。なお、保証内容の最新情報はJackery Japan公式サイトのサポートページでご確認ください。
- Jackeryはアメリカ設立・中国製造のグローバルブランドで、日本法人が2019年に設立された
- 創業者はモンゴル出身で日本のメーカーでの勤務経験を持つ
- 製造はISO9001認証取得の深セン工場で行われ、品質管理は自社一貫体制
- 日本語サポート・保証・無料回収など購入後のケア体制が整っている
Jackery製品が取得している安全認証と防災製品認証
防災用途でポータブル電源を選ぶ際、安全認証の有無は重要な確認ポイントです。認証のない製品は過充電・発火リスクが管理されていない可能性があるため、購入前に確認しておくとよいでしょう。
日本で必須のPSEマークとUN38.3
日本国内で販売されるポータブル電源には、電気用品安全法(PSEマーク)への適合が必要です。Jackeryの製品はこのPSEマークを取得しており、日本の電気規格(AC100V・50Hz/60Hz対応)に完全対応しています。
PSEマーク(電気用品安全法)は経済産業省が定める安全基準で、取得には製品ごとの適合性検査が必要です。リチウムイオン電池については国連輸送試験「UN38.3」への適合も求められており、Jackery製品はこちらも取得済みです。PSEマークの最新取得状況は、製品ページまたは経済産業省のPSE情報公開サイトでご確認いただけます。
防災安全協会の「防災製品等推奨品」認証
Jackeryのポータブル電源とソーラーパネルの各モデルは、一般社団法人防災安全協会による「防災製品等推奨品」の認証を取得しています。この認証は、災害時に有効活用でき、かつ安全と認められた防災用品にのみ付与される制度です。
「防災用品として公式に認められているかどうか」を判断する目安の一つになります。ただし、認証を取得しているモデルと取得していないモデルがあるため、購入前に対象製品を防災安全協会の公式サイトで確認するとよいでしょう。
BMS(バッテリーマネジメントシステム)による安全制御
Jackery製品には全モデルにBMS(バッテリーマネジメントシステム)が搭載されています。BMSは過充電・過放電・過電流・過熱を検知して自動停止する安全制御システムです。防災備蓄として長期間使用する場合、この制御機能の有無が安全性に大きく影響します。
保管中も内部温度を監視し、異常が発生した場合は自動で動作を停止する仕組みです。ただし、BMS搭載であっても設置環境(高温・湿度・直射日光)や保管状態によっては性能劣化が生じるため、定期的な確認と適切な保管が大切です。
PSEマーク:日本の電気用品安全法に適合しているか
UN38.3:リチウムイオン電池の国際輸送試験に適合しているか
防災製品等推奨品:防災安全協会の認証を取得しているか
BMS搭載:過充電・過放電・過熱の自動制御機能があるか
- Jackery製品はPSEマーク・UN38.3など日本・国際の安全認証を取得している
- 防災安全協会の「防災製品等推奨品」認証を取得しているモデルがある
- 全モデルにBMSが搭載されており、過充電・過熱などの自動制御機能がある
- 認証対象モデルは購入前に公式サイトや防災安全協会のページで確認するとよい
防災備蓄としてJackeryを選定する際の比較ポイント
ポータブル電源市場ではJackery・EcoFlow・ANKERの3ブランドが大きなシェアを占めています。防災用途で選ぶ際は、容量・出力・バッテリー寿命・サポート体制の4点を軸に比較するとよいでしょう。
バッテリー容量と定格出力の考え方

容量はWh(ワット時)で表されます。停電時に何をどれくらいの時間使いたいかによって、必要な容量が変わります。スマートフォン充電や照明・ラジオ程度なら300〜500Wh程度でも対応できますが、冷蔵庫・電子レンジ・エアコンを使いたい場合は1,000Wh以上が目安です。
定格出力はWで表され、同時に使える家電の合計消費電力を下回るモデルは選べません。消費電力の大きい家電(電子レンジ:約700〜1,000W・冷蔵庫:約100〜200W)を使う場合は、定格出力1,500W以上のモデルを検討するとよいでしょう。接続する家電の消費電力はメーカー公式サイトまたは製品の銘板(本体に記載)で確認できます。
| 用途の目安 | 必要な容量の目安 | 必要な定格出力の目安 |
|---|---|---|
| スマホ・照明・ラジオ中心 | 300〜500Wh | 300W程度 |
| スマホ・ノートPC・扇風機 | 500〜1,000Wh | 500〜1,000W |
| 冷蔵庫・電子レンジ・炊飯器 | 1,000Wh以上 | 1,500W以上 |
| エアコン(一時的使用) | 3,000Wh以上 | 2,000W以上 |
バッテリーの種類と寿命の違い
ポータブル電源のバッテリーには主に「リチウムイオン電池」と「リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP)」の2種類があります。Jackeryの「Plusシリーズ」「Newシリーズ」はリン酸鉄リチウムイオン電池を採用しており、充放電サイクルが約4,000回(Jackery公式サイト記載)と長寿命です。
リン酸鉄リチウムイオン電池は熱安定性が高く、過充電時の発熱リスクが従来のリチウムイオン電池より低いとされています。防災備蓄として長期間保管・使用することを考えると、バッテリーの種類と寿命は重要な選定要素です。なお、サイクル数は使用条件によって異なるため、最新の仕様はJackery Japan公式サイトの製品ページでご確認ください。
UPS機能と自然放電への対策
Jackeryの多くのモデルにはUPS(無停電電源装置)機能が搭載されています。UPSとは、停電が発生した際に瞬時にバッテリーからの給電に切り替え、接続機器をシャットダウンさせずに守る機能です。在宅避難中にノートPCや医療機器を接続している場合、この機能が有効に働きます。
また、ポータブル電源は使わずに放置すると自然放電により容量が減少します。Jackeryの一部モデルは「省電力モード」や「長期保管モード」を搭載しており、自然放電を抑えられる設計になっています。備蓄用として購入した後も、3〜6ヶ月に一度の充放電確認を行うとよいでしょう。
- 容量(Wh)は使いたい家電と使用時間から逆算して選ぶ
- 定格出力は接続したい家電の合計消費電力を超えるモデルを選ぶ
- リン酸鉄リチウムイオン電池搭載モデルは長寿命・熱安定性が高い
- UPS機能と自然放電対策モードの有無も防災用選定の確認ポイント
Jackeryを備蓄で運用するときの注意点
購入後の保管方法や使用上の注意を把握しておくと、いざというときに確実に使えます。製品評価技術基盤機構(NITE)も、リチウムイオン電池製品の適切な管理を呼びかけています。
保管場所・温度・湿度の管理
ポータブル電源は高温・低温・直射日光・多湿の環境が苦手です。長期保管は室温15〜25度前後・湿度60%以下の場所が適しています。夏場の車内や屋外の物置など、高温になりやすい場所への保管は避けてください。
NTE(製品評価技術基盤機構)の事故情報では、リチウムイオン電池製品の事故原因として不適切な保管環境や充電中の放置が挙げられています。Jackeryの事故情報データバンクにも過去の発火事例が登録されており、使用上の注意をメーカー公式サイトで確認してから使用することを推奨します。最新の注意事項はNITE公式サイト(製品安全情報)またはJackery Japan公式サイトでご確認ください。
定期的な充放電と動作確認の習慣
備蓄品として長期間保管する場合、3〜6ヶ月に一度は充放電を行い、残量と動作を確認することが大切です。残量が0%になった状態で長期保管すると、バッテリーが過放電状態となり、再充電できなくなる場合があります。
購入後はすぐに一度フル充電し、残量50〜80%程度の状態で保管するのが一般的に推奨されています。ただし、保管方法の推奨値はモデルによって異なる場合があるため、製品に同梱の取扱説明書またはJackery Japan公式サイトの推奨事項をご確認ください。
停電時に実際に使うための事前準備
防災用として購入した後、実際の停電時にスムーズに使えるよう、事前に操作を確認しておくとよいでしょう。ボタンの配置・接続できるポート・定格出力の上限を日常生活の中で把握しておくと、非常時に焦らず使えます。
また、停電時にどの家電を優先してつなぐかをあらかじめ決めておくことも大切です。冷蔵庫(食材の保存)・スマートフォン(情報収集)・照明の3点を最優先として、残量を計算しながら使う計画を立てておくとよいでしょう。
保管場所:室温15〜25度・湿度60%以下・直射日光の当たらない場所
保管残量:50〜80%程度(取扱説明書で推奨値を確認)
定期確認:3〜6ヶ月に一度の充放電と動作確認
事前練習:接続ポート・ボタン操作を日常生活で把握しておく
- 高温・直射日光・多湿の環境での保管は避ける
- 残量0%での長期保管は過放電につながるため注意する
- 3〜6ヶ月に一度、充放電と動作確認を行う習慣をつける
- 停電時に使う家電の優先順位を事前に決めておく
ミニQ&A:Jackeryに関するよくある疑問
購入前に多くの方が持つ疑問を2点まとめました。
Q. Jackeryは偽物が出回っていると聞いたが、どう見分ける?
2023年ごろからJackeryを名乗る偽サイト・偽アカウントがSNS広告に現れた事例があり、Jackery公式も注意喚起を行っています。公式販売店かどうかを確認するには、Jackery Japan公式サイト(jackery.jp)に掲載されている「公式販売店一覧」を参照してください。Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングの「公式店」ラベルがある出店も安全です。相場より極端に安い価格の場合は、購入前に販売元情報を必ず確認しましょう。
Q. Jackeryのポータブル電源を屋外(避難所・車中)で使うときの注意点は?
屋外での使用は日差しや高温に注意が必要です。直射日光下では本体温度が上昇し、BMS(バッテリーマネジメントシステム)が自動停止する場合があります。避難時に屋外で使う場合は、日陰や車内の涼しい場所に置いて使用してください。また、雨天・水濡れには対応していないモデルがほとんどです。防水性能の有無は製品仕様ページで確認してください。
- 購入は公式サイトまたはAmazon・楽天の公式店ラベルがある販売元で行う
- 屋外使用時は直射日光・高温を避け、本体の温度管理に注意する
- 雨天・水濡れへの対応可否は製品仕様ページで事前確認する
まとめ
Jackery(ジャクリ)はアメリカ設立・中国製造のグローバルブランドで、モンゴル出身の創業者が日本での経験をもとに立ち上げたポータブル電源の専門ブランドです。日本法人も設立されており、PSEマーク・防災製品等推奨品認証・BMSなどの安全面が整っているため、防災備蓄の選択肢として検討する根拠は十分あります。
まず購入前に、自分が停電時に使いたい家電の消費電力を調べ、必要な容量と定格出力を算出してみましょう。それが具体的に分かれば、Jackeryの製品ラインナップの中から絞り込みやすくなります。
防災備蓄は「買って終わり」ではなく、保管・定期確認・使い方の把握がセットです。購入後も3〜6ヶ月に一度の動作確認を続けることで、いざという場面で確実に使える備えになります。
本記事の内容は、公的機関・メーカー公式情報などの一次情報をもとに整理したものです。実際の避難行動・食品の安全判断・機器の使用可否については、各自治体や公的機関の最新情報を必ずご確認ください。


